CASE.02 遺言

コラム
COLUMN
C A S E . 02 遺 言
 不動産を売却、換金して相続人に分配したい。
遺産の中で不動産が大きな割合を占めており、かつ相続人が複数いる場合、遺言の内容に悩みます。

(1)清算型遺贈(遺言) 


遺産中で不動産が大きな占める場合、複数の相続人に遺産を分配するには、①生前に不動産を売却してお金にしておく②相続人全員で不動産を相続してから売却するのいずれかが考えられます。

しかし、①の場合、もし不動産が遺言者の自宅の土地建物の場合、生前中に売却してしまうことができないかもしれません。②の場合、不動産の売却について相続人全員の意見が一致しなければ売却することができません。

そのような場合に、例えば、「不動産を売却し、売却にかかった経費を差し引いた売却代金の残代金を、指定した割合で相続人に相続させる。」という内容の遺言を作成して遺言執行者を定めておくことにより、遺言執行者が相続人を代理して、不動産の相続登記をしたり不動産を売却したりすることができます。その結果、相続人が煩わしい手続きをしなくても済み、遺言者は亡くなるまで自宅に住み続けることができます。

(2)清算型遺贈代用信託(遺言信託) 


(1)と同様の結果を得る手段として、遺言信託を活用することができます。

遺言者は、相続人の一人を受託者、相続人全員(もしくは一部)を受益者として不動産を信託する旨の遺言を作成します。受託者には、不動産を売却して売却代金を遺言で指定した受益権割合により受益者に分配してもらうようにしておけば、(1)と同様の結果を得ることができます。

(1)の場合、形式上、不動産はいったん相続人全員の所有となりますので、不動産売却に伴う譲渡所得税や、所得の増加に伴う住民税等の負担は法定相続人に課されます。もし売却代金を相続しない相続人がいる場合、その相続人にも税負担が掛かってしまうため、調整を余儀なくされることが考えられます。(2)の遺言信託の方法の場合、譲渡所得税等の売却に伴う税負担は受託者のみに課されますので、面倒な調整をしなくて済むことが考えられます。